Audible無料体験で聴いてみてとてもよかった本
村上春樹「職業としての小説家」
リピート3周目くらいしてます。
私の中で村上春樹さんの印象が良い意味で180°変わりました。
村上春樹さんと言えば「ノルウェイの森」の印象が強烈で、このタイトルを聞いたことがない人はいないと思います。
内容も洒落てるし、ある種の独特の世界観が完成されていて、なんかもう、いかにも「華々しい活躍が約束された文学界のプリンス」が書いてるのかな〜って感じの浮世離れした自信のようなものがひしひしと伝わってくるような、、
と長年思っていたのですが、この本で語られる等身大の村上春樹さんの姿は生身の人間がコネもカネもない中で無我夢中で努力し試行錯誤し続けて今があるという意外なものでした。
印象深かったのは、デビューして浅い頃は周りから「どうせ文筆では食べていけないだろう」と思われていたこと、その後次々と作品を発表したらしたであることないこと言われ、信じがたい奇妙な目に遭ったりと雑音に悩まされてきたという部分です。
特に、雑誌で業界人の誰かが匿名で批評を載せてきたりのくだりは陰湿極まりないと思いました。
村上春樹さんほどのベストセラー作家でもこういう悩みがあるとは、人間とはわからないものですね。
先入観や思い込みはよろしくないですね。
私は村上春樹さんの足元にも及ばないチンケな一市民で、今こそ快適に過ごせておりますが、色々ございましたですね。。
まず、税理士試験受験中はラスト2科目が30代突入していたこともあり、周りの視線は冷めてて、「いつまで夢みてんの?」って感じでした。
運良く合格した時は親は「よかったね」というような言葉をかけてくれたと思いますが、むしろ「その年で資格とってどうするの?」と心配している様子でした。
当時の私の性格を知る知人も「独立して自分でやっていくタイプではないしなぁ」と困惑気味。
盛大にお祝いしてくれたのは面識のない専門学校の先生方でした。
(中略)
元々独立志向nothing、正社員で安定して働ける職場希望だったのが、予期しない訳わからない経緯で独立開業することになり、コネなしカネなしゼロスタートで無我夢中で身を粉にして働くこと4年余り。やっとワンオペにも慣れーの、ありがたいことに気持ちの良いやり取りをしていただけるお客様方にも恵まれーの、他士業の先生方から大変親切にフォローしていただける場面もありーの、と日々学びがあり充実感を味わえています。
3年めくらいから特に自営業の方々からの見る目が変わったのを感じました。継続するのは難しいことなのです。
(中略)の部分は私も信じがたい奇妙でトンデモな目に遭っておりました。
あの頃は良い方にもお世話になりました。
ただ、人の心を持ち合わせていないような人たちが多すぎて人間不信になりました。
基本的に人間関係はお互い様です。あの頃の私の独立心に欠け性善説で対人関係を築こうとした未熟さゆえに魔窟に足を突っ込みゾンビを召喚してしまったと反省しています。
村上春樹さんは嫌な思いをするとどうせなら元をとってやろうと考えるそうです。
私もそこは同じです。
はからずも、私の独立心は一気に覚醒しましたし、いざという時の一瞬の判断が後々自分にとって良い方向に転ぶ瞬発力を持ち合わせていることにも気づきましたし、肝が据わりました。
禍転じて福となす、私の半生を象徴する言葉です。